重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)で土佐の「皿鉢(さわち)料理」を召し上がれ
■重伝建の町並みでおもてなし
土佐漆喰の白壁に何段もの水切り瓦が特徴的な民家で知られる吉良川町は、1997年に重要伝統的建造物群保存地区となり、今年20周年を迎えました。その歴史ある町並みの表通りにあたる旧街道から一歩裏に回ると、この地域独特の玉石を積んだ石塀「いしぐろ」に囲まれた緑豊かな庭があり、古民家喫茶「多だ屋」が静かに佇んでいます。
■地域の食文化を伝えて
土佐には刺身などのさまざまな食材を大皿に盛って皆で分け合う「皿鉢(さわち)料理」という食文化があります。御膳は大皿ではなく一人前ずつですが、バラエティ豊かな料理がこれでもかと盛りつけられて、見ているだけでも楽しくなります。素材には、地元の限られた場所でしか採れない海藻なども使われていて、地域の貴重な食文化を教えてくれます。食後は沖の海洋深層水で入れた香り高いコーヒーが楽しめます。吉良川を訪れるなら、隔年5月に開催され、重要無形民俗文化財の田楽が見られる御田祭り、毎年10月の花台がでる神祭、そして3月の雛祭りの時期がおすすめです。
このお屋敷は土佐古式捕鯨の開祖である多田五郎衛門義平の二男が分家して居を構えたことに始まり、土佐藩郷士として幕末を迎えています。土佐捕鯨に関する幕末期の絵図も残されています。現在の建物は旧家屋をもとに改築されていますが、往時の雰囲気を色濃く漂わせており、大正時代に建てられた土佐漆喰塗りの土蔵も現存しています。
もてなしてくださるご夫婦はセカンドライフとして、この地区を訪れた人びととのふれあいやおもてなしを大切にしたいとの思いから、一念発起してこのお店を立ち上げられたとのこと。そこにはお遍路さんをもてなす「おせったい」の文化も感じられます。今では訪れた人が休むお店が比較的少ない吉良川に欠かせないお店となっています。